東洋医学の治療法のひとつ「鍼灸」について理解する

心身のバランスを整えて健康を維持!

「鍼灸」による治療

「鍼灸」による治療

世界に広まっている鍼灸

鍼灸治療とは専用の鍼や灸で身体の特定の点を刺激する治療法のことです。施術するには「はり師」や「きゅう師」などの国家資格を取得しなければなりません。
治療に使われるのは髪の毛ほどの細さの鍼です。その鍼を筋肉の大きさや骨の位置に注意しながら適度な深さや角度で素早く刺入し、鍼を上下させたり、回したり、振動させたりしながらツボを刺激していきます。刺した時の痛みは痛点を刺激しない限りほとんど感じません。鍼灸治療は頭痛や肩こりを緩和するために行うというイメージが強いかもしれませんが、西洋医学で対処できない疾患を治療できるとして世界各国で取り入れています。
東洋医学という名称のせいか、中国や日本を中心としたアジア圏で行われている治療だと思っている人もいますが、今はアメリカやヨーロッパでも東洋医学は広まっており、日本以上に医療現場で活用されています。世界保健機関(WHO)でも鍼灸の医療効果を正式に認めており、医療分野だけでなくリラクゼーションやライフスタイルの見直しの一環として積極的に取り入れられています。

鍼灸の仕組み

「気」「血」「水」の3つのバランスが乱れることで体調が崩れるため、そのバランスを自然治癒力で戻して病気を治す、と考える東洋医学は、3つの要素がどのように崩れているかによって治療法を決めていきます。治療法のひとつ、鍼灸では2,000以上のツボを症状に応じて使い分けます。
「気」と「血」が体内を巡る通り道のことを経路といい、この経路の各所にツボがあります。滞った経路を改善するためにツボに鍼や灸を施すことが鍼灸治療です。鍼灸による効果のメカニズムの詳細は明らかになっていませんが、今のところわかっているのは以下の通りです。

「生体機能調整作用」

組織や器官の機能を回復させる作用は症状によって働き方が異なるということです。疼痛や痙攣は機能が異常に高い状態になっているため鍼灸治療で鎮静作用を促し、痺れや運動麻痺などの神経の機能が低下した場合は動きを活発にさせる興奮作用を促します。

「血行促進作用」

血管を拡張させて血行を促すことで肩こりや筋肉痛、動脈硬化の症状を緩和させたり、関節炎などで患部に集まっている血管を循環させることで炎症を鎮めたりする作用があります。

「免疫力の活性化作用」

免疫力を高めるためには白血球を増やして生体防御機能を高めることが大切です。鍼灸治療で血行を促進し生体機能を調整することで癌や感染症にかかりにくい体質に改善することができます。