病気や症状を「身体全体のもの」と捉える東洋医学について詳しく説明しています。身体のバランスを整えることで自己治癒力を高めて治療する東洋医学は、今や世界中に広まり、その効果に大きな注目が集まっています。主な治療法は、鍼や灸で身体の特定の点を刺激して治療する「鍼灸」と日本の風土に合わせて独自に発展した医療「漢方」です。
まずは東洋医学とはどのような医学なのかを知りましょう。医学と聞いて多くの人がイメージするのは手術や薬で患部を治療する西洋医学ではないでしょうか。東洋医学は患部だけでなく患者さんの全身や生活習慣などを診て、総合的に治療法を判断します。東洋医学は「気」「血」「水」の3つの要素がバランスよく身体を巡ることで健康を保っていると考えています。このバランスが崩れることで体調が悪化するため、バランスを崩さないことを重視しています。
この記事をチェック長い歴史を積み重ねてきた東洋医学の利点はデータベースが豊富なことです。症状に対しどのような治療が効果的なのかを豊富なデータベースから導き出せるため、病院の検査などで原因が特定できなくても対応できます。西洋医学では痛みを抑えることに注視しますが、東洋医学では痛みが発症した原因や状態なども総合的に診て治療法を判断します。そのため、患者さん1人ひとりの状態に合わせてオーダーメイドの治療ができるのが大きな特徴です。
この記事をチェック漢方は古代中国で発生した民間療法のひとつです。日本には平安時代から室町時代の頃に伝わりました。その当時は大陸との交流が盛んで中国からさまざまな文化が伝わっており、医術もそのひとつだったのです。伝来した当初はそのままの状態で受け入れていましたが、日本の風土や気候、日本人の体質に合わせて改良され独自に発展していきました。漢方の理論に基づいて処方されている医薬品のことを漢方薬といいます。漢方薬には生薬・煎じ薬・エキス剤の3種類あります。
この記事をチェック東洋医学の治療法のひとつ、鍼灸は髪の毛ほどの細さの専用の鍼で身体の特定の点を刺激する治療法です。痛みを感じるのではないかと懸念している人もいますが、そんなことはありません。筋肉や骨の位置に注意しながら素早く刺入するため痛点を刺激しない限りほとんど感じません。最近はアジア圏だけでなくアメリカやヨーロッパにも広く知れ渡っており、医療分野を始め、リラクゼーションやライフスタイルの見直しの一環として取り入れている人もいます。
この記事をチェック病気やケガの原因を突き止め、それを除去することを目的とした東洋医学は健康な状態を保つために「気」「血」「「水」の3つのバランスを崩さないことが大切だと考えています。
漢方薬は長期間継続して服用することで効力を発揮すると考えられていますが、風邪の症状を緩和するのに有効な葛根湯や倦怠感を解消する補中益気湯など即効性の高いものもあります。
東洋医学の治療法のひとつである漢方は、「大人を対象とした治療法」というイメージが強いのですが、最近は子どもにも高い効果が期待できると関心を寄せる小児科医が増えています。